石田宏実.com

石田の独立までのストーリー19

銀行残高は3万円を切っていた。
しかし・・・あたかもそれが合図だったかのように
大量の注文メールが、メールボックスを独占するようになる。
私は3万円の資金でいったい何をしたのか?

・・・実はこの3万円は一切使っていない。
つまり無料である仕掛けを行ったのだ。

2006年7月。
無料で大量注文を獲得した、ある仕掛けとは・・・?

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『はぁ・・・』

大きなため息をつく。

確か春には20万円程度あったはずのキャッシュ。
しかし今はどうだろう。
イーバンク銀行の「残高」欄には
29750円と書かれている。

間違いない。3万円を切っている。

そして誰かが裏で操作しているかのように
ピタリと「情報処理試験の音声教材」の売り上げが止まっていた。

確か最後の注文は、2週間ほど前。
それも3000円程度の売り上げだった。

そんな回想をしている最中にメールが届く。
着信音からそれが注文を告げるメールであることがわかる。

件名には『注文がありました』と書かれている。
間違いない。音声教材が売れたようだ。

本文を開き、売上額を確認する。

1250円。フロントエンドの低額商品が売れたようだ。

2006年6月、初めての売り上げだ。

『はぁ・・・』

もう1つ、大きなため息をつき、
ソフトの開発を再開した。

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1本目のショッピングカート、
2本目の自動返信メール。

これらは惨敗だった。

3度目の正直とばかりに練りに練った
『アクセス解析』ソフトが完成していた。

しかし資金は3万円弱。
いや、1250円の売り上げにより、3万円をちょっとだけ
超えたばかりだった。

さてこの「アクセス解析」システム。
売るにはどうすればいいだろうか。

私は考えた。

「アクセス解析」など買うだろうか?
誰がどう考えても「難しそう」と感じるだろう。

しかしきちんと分析を行わなければ
ネットで売り上げをあげることなど不可能なのだ。
それは過去1年の副業生活で痛いほど身にしみている。

目の前にお客さんがいて、セールスをしかけているわけではない。
だから反応がわからない。

データ上はどんな訪問者でも「アクセス数=1」として表示される。
それはおかしいと感じていた。

「買いたい!」と思ってきている人もいるだろう。
間違って来た人もいるだろう。

それが「訪問の目的」が全く異なるいも関わらず
「アクセス数=1」としか認識できないのは
大きな損失である。

事前にきちんとサイトを設計し、
そのとおりに訪問者がアクションを起こしてくれているのか。

それを分析することが非常に重要だ。そう考えていた。

そこで、ネットマーケティング用に最適化された、
そして世界一の機能を詰め込んだ(少なくても当時はそのような自身があった)
のが『アクセス解析の達人』だった。

ただ・・・面倒だと感じる人が多いだろう。
そこで無料レポートを作成することにした。

これはリアルのビジネスでは「小冊子」として
比較的一般的なマーケティングツールだ。

小冊子を無料でプレゼントするのだ。

そうすることで見込み客の連絡先(住所や電話番号など)が
大量に手に入る。

当然、小冊子で扱うテーマと、本来売りたい商品(バックエンド)のテーマが
同カテゴリである必要がある。

そして見込み客に小冊子を送る際に、バックエンド商品のセールスも行うのだ。

ダイレクトレスポンスマーケティングの基本テクニックとして
多くの企業で行われていた。

これを参考に「音声教材の無料版」を配布して
見込み客のメールアドレスを大量に獲得していたのが
2006年2月の売り上げにつながった。

今回はアクセス解析の重要性を理解してもらうための
無料レポートを執筆することにしたのだ。

※ちなみに私が考え出した「精読率」機能は
その後、多くのアクセス解析ソフトで眼にするようになる。
なぜか機能名も、ほとんどが「精読率」だった・・・。

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執筆は難航した。
なにせ文章を書いた経験などほとんどない。

当然だ。プログラマにとっての文章とは設計書くらいのものだ。

今回の文章は違う。最終的には「欲しい!」と思ってもらうための文章。
セールスライティングの知識が必要になる。

国語の勉強は一切に役に立たない。
唯一のルールは「欲しいと思ってもらう」。
この一点。

とはいえある程度の知識はあった。
どうすれば人が買いたくなるのか?
もちろん机上の空論ではあるが頭には入っていた。

それらのライティング知識を駆使して執筆に明け暮れた。

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書店でアクセス解析関連の本を買い、参考にした。
ネットで検索し、また実体験をもとにしたノウハウを詰め込み
50ページ程度の無料レポートが完成した。

WORDで執筆し、PDF化する。

こうして初の自作レポートが完成した。

内容には自信があった。
なにせ参考にしたのはAmazonで評価の高かった本。
目からうろこなノウハウが満載。
それに自分の実体験をおりまぜる。

そしてここが肝なのだが、
何気なく・・・あくまで何気なく「アクセス解析の達人」のことに触れる。

たとえば

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アクセス数だけを見ていては無意味なんです。
あらかじめどのようなルートでページを遷移して欲しいかを
設計し、その通りに遷移している人がどのくらいの%で
いるかを明確にしなければなりません。

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と解説し、そして

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私が開発した「アクセス解析の達人」だと、
以下の「ルート」をクリックします。そうすると
どのページからどのページへの遷移が多いかが%で表示され
ます。

これを見れば一目瞭然です。

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とした。

ただあまりセールス色を強くすると、拒否反応が強くなるため
そのあたりのバランスには気を使った。

そして無料レポートを自分のホームページで告知した。

当時のアクセス数は一日50人程度だったため

『毎日10人くらいが無料レポートを請求してくれるだろう
そして、そのうち3人が買ってくれるとすると・・・』

そんな皮算用をしていた。

1本6000円で販売していた。決済代行サービスに手数料として
10%支払うため、利益は5400円。

毎日3本売れる皮算用であるため、毎日16000円ほどの利益になる。

この数字が出た瞬間に手から汗が流れるのを感じた。
久しぶりの高揚感だ。
毎日16000円も稼げれば当面は生活していけるだろう。

『いよいよ独立起業か?』と。

しかし・・・そんな期待はもろくも崩れ去ることになる。

石田が独立するまで、あと・・・14か月。

(続く)

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