石田宏実.com

facebook依存症の男の話 その2

外は雨。目の前には大きな窓。

その窓の透明な壁面を、粒の大きなしずくが
他のしずくの間を縫うようにして落ちていく。

 

 

早朝ゴミ出しをした時から雲行きは怪しかったのだが、
スタバでカフェラテを注文するころにはすでに土砂降りだった。

この近代的な建造物は、豪雨をただの「風景」として我々を楽しませてくれる。

右には大きな国道。
車が地面に溜まった雨を勢い良く弾き飛ばす音も、
洋楽のBGMに混じりとても心地がよい。

いつもより客は少なかった。

時計を見ると、サラリーマンであればそろそろ朝礼を終えているだろう時間を示しているのだが、
客が少ないのは時間のせいではない。いつもは時間に関係なく、座席のほとんどは埋まっているのだ。

「雨の日は客は少ないのか」

そんな当たり前のことを思いながら、熱いコーヒーを口に運ぶ。
週に1度は通っているいつものスタバだが、
雨天というだけで違う雰囲気になる。

昨日届いた新しいノートパソコンのデビューということもあり
心地の良い時間が流れていく。

しかし・・・そんな心地よさが一瞬にして吹き飛ぶ事件が起きた。

時は、2012年秋。

 

 

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#この話はフィクションです。私の話ではありませんので・・・。
#そしてfacebookを否定するものでもありません。活用法の話です。

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facebookに疲れていた。

確かにいいね!数が増えていくのは楽しかった。
しかしそれはしょせん、ゲーム的な楽しさだ。
ビジネスに結びついているか・・・というと答えはNOだ。

確かに友達は増えた。
飲み会の数も増えた。
飲み会があると、さらに友達が増えた。
そしてその友達経由でさらに飲み会があり・・・。

そうこうしているうちに、1年で友達数が500を超えていた。

リアルな付き合いの人が多いため、
投稿へのいいね!数は100を超えることが多い。

どうやらこの100という数字はかなり多い方らしい。

「100いいね!ですか。凄いですね!」

そんなことも度々言われる。それがまたfacebook依存の症状を強めていった。
しかしある時「ビジネスに結びついていない」「時間の無駄」であることに
気が付き、3週間ログインするのを辞めた。

すると想像以上に自分が、facebookにハマっていたことに気がつく。
この3週間、仕事に没頭できたのだ。

「facebook疲れ」。まさかそれに、自分がなっていたとは・・・。

 

 

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#結構書くの大変なので(汗)、いいね!とかコメントとかシェアとか
#してくれると、超ウレシイです!お願いします!

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濃いノウハウ。せっかくfacebookに投稿しても、わずか2日程度で
いいね!が増えなくなる。

つまり2日もすればニュースフィードに載らなくなることを意味していた。

facebookが独自のロジックで算出した「エッジランク」という数値をもとに
表示する投稿を決めている。それがニュースフィードだ。

「オススメの投稿」とも言える。
2日程度でいいね!が増えなくなるというのは、
2日もすればオススメではなくなるということなのだ。

いや実際には10時間もすれば増加率はかなり鈍化する。
投稿の賞味期限はわずかその程度なのだ。
それに虚しさを感じた私は、
ブログに目をつけた。

「性に合わない」と思い、一時は遠ざかっていた。

しかし10時間程度でゴミ扱いされるfacebookに比べれば
ブログは半永久的にGoogleのサーバに蓄積され、検索結果として提示される。
たとえば以前、何気なく「エスパー伊東」のことを書いた。

「エスパー伊東って、どのくらいの年収があるんだろうか・・・」と
重要度の低い、ただちょっとだけ頭をよぎっただけの「つぶやき」だ。

文字数にして100文字程度。投稿日は2012年春。

この投稿が、意外とアクセスを呼んでいる。

ブログに標準装備されている「アクセス解析」を見ると。
「エスパー伊東 年収」
「エスパー伊東 仕事」
などでポツポツとアクセスがあるのだ。

もちろん非常に少ない。1週間に1人程度ではある。
しかしこのような投稿がもし100あったとしたら
単純計算で1週間で100人を呼べることになる。

もちろんそんな単純にはならないが
せっかく投稿するのであれば、facebookだけではなく
ブログにも投稿すべきなのだ。

そうすればGoogleの丁寧にそれらを拾い、
データベースに保存してくれる。
「資産」だ。

会計の世界では、
短期間に換金されるであろう「預金」「売掛金」などの資産は「流動資産」
1年以上かかる「家屋」「土地」などは「固定資産」と呼ぶ。

我々が一生懸命書いた文章や画像は、
facebookは2日程度しかもたない「超流動資産」として扱われ
Googleは「固定資産」として扱われる。

それは、facebookでは「検索」の仕組みが非常に弱いところからもわかる。

facebookにいくら投稿したところで、
春に投稿した内容で、秋に人は来ないのだ。

 


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#そろそろ重要な話が始まりますよ。
# キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!って感じですw

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ブログでオススメなのはアメブロだ。

たくさんの芸能人が使っている。

普通ブログというと、1つのブログ単体で存在しているが
アメブロの場合には、ソーシャルの要素が含まれている。

単純にいうと、他のアメブロのユーザが
自分のブログに来てくれる可能性があるということだ。

また、ブログが更新されると
それが通知される「購読」という機能もある。

ブログ間のつながりが強いため
きちんとやれば読まれるブログにすることが可能だ。
そんな事実を知り、私はアメブロを始めた。

2007年春のことだ。

しかしあまり楽しさを感じなかったため、
ほんの5回投稿しただけで辞めてしまった。

そのアメブロに最近ハマりだした。

facebookに投稿した比較的長文の濃い文章。
これをアメブロにもコピペするという使い方だ。

そんなことを3ヶ月も続けると
ブログのアクセスは1日に100を超え始めていた。

『ただfacebookの文章をコピペしただけなのに・・・』

私はfacebookとブログの連動にハマっていった。

 


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#いよいよ、世にも恐ろしい
#最近話題になっているあの現象が!

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コーヒーは冷めていた。
雨も少しばかり落ち着いたように見える。
車の数も若干少なくなった。

時計を見ると来てから1時間経っている。

いま流行りの「ノマド」と言うやつだ。
場所にとらわれず、ノートパソコン1台で仕事をするスタイルが気に入っていた。

『さてそろそろブログでも更新するか』

最近忙しく、5日ほど空いていた。

まずはfacebook。
久しぶりということもあり、気がつくと1000文字を超えていた。
たぶん最長記録だろう。

我ながらよくできたコンテンツになった。

いま話題の内容だし、的を得ている(と、自分では思った)。
当然のことながら、ほんの数分でいいね!がポツポツ付いてきた。

次はいつものようにブログにコピペだ。
『お探しのページを表示できません。』

 

自分のブログのURLを打ち込み、そこから記事を投稿するという手順なのだが
久しぶりでURLを間違えたらしい。
『ショートカットをデスクトップにでも貼っておこう。』

いままではブラウザにURLを途中まで打つだけで
続きが表示される機能に頼っていた。

ameblo.jp/

とまで打つと、自分のブログのURLがすべて表示される。
あとはそれを選択してENTER。

過去に入力した履歴からサーチしているらしい。

便利な機能だ。

ただ今日は新しいノートパソコンなので、
その「履歴」はない。

記憶をたどり手入力していったのだが
どうやら間違ったらしい。

 

『URL、なんだっけ・・・?』

トイレに向かいながら思い出そうとするが思い出せない。

『そういえばfacebookからリンクしていたっけ』

再び席に付き、facebookを開く。
プロフィール欄にブログのURLを設定しておいたことを思い出した。

『これだこれだ。』

見た目には、先ほど打ったURLに違いはないように見えるが、
微妙に違いがあったのだろう。

今度は間違いないように、URLをコピーし、
ブラウザに貼り付ける。
1秒・・・2秒・・・3秒・・・。

 

いつもより時間がかかる気がしたが
見慣れた「アメブロ」のロゴが表示された。

しかし見慣れていたのはそのロゴだけだった。

それ以外は先ほど初めて見た

『お探しのページを表示できません。』

の文字。
右側に、黄色のキャラクタが「ごめんなさい」と泣きながら謝っている。
事態が把握できなかった。

facebookのプロフィール欄に設定したURLに
誤りがあったのか?

いや、以前はここからブログに飛んだこともある。
間違いないはずだ。
ふと右下のアイコンに目をやると
ノートパソコンのバッテリーが少なくなっているのが目についた。

バッテリーのアイコンにマウスを載せると
「7%」と表示される。

買ったばかりのパソコンをそのまま開封して持ってきたため
充電されていなかった。
7%といえども、あと5分ももたないだろう。

ブログにアクセスできないことは気になったが
午前中に返信しなければならないメールがあったために
それを優先することにした。

『アメブロがメンテナンス中なんだろう』

そう自分に言い聞かせ、
来週の打ち合わせの時間を取引先にメールした。

送信が完了するのを待っていたかのように
「バッテリーが残りわずか」である警告メッセージが表示。

ブログの件は気になったが、続きは自宅でやることにした。
いったいなぜ・・・?

 

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『電話するか・・・』

アメブロの電話番号はどこにも載っていなかった。
問い合わせはメールだけ。

さすがIT企業。すべてのコミュニケーションはITというわけだ。

自宅に戻った私は再度
ブログを開いてみる。

ブラウザの履歴機能からたどったためURLに間違いはない。

『アカウント凍結・・・』

そんな言葉が頭をよぎる。

いや、もうそれしか考えられない。

私のブログは見ることができなくなっている。

しかしなぜ・・・?
アメブロに問い合わせ用にも方法がわからない。

Googleで「アメブロ 凍結」と検索してみた。

あったあった。やはり困ったときの検索エンジン。
たくさんの検索結果が表示された。頼りになる。

たくさんの検索結果。確かに頼りになるが
それは同時に「アカウント凍結された人が多い」ことも意味する。

いくつかのサイトを確認する。
愕然とした。

 

「凍結」ではないらしい。「削除」。

つまり「一時的にアカウントが利用できない」
という状態ではなく、この世から綺麗に無くなったのだ。


我々が普段やる、いらないファイルをクリックして
「DELETE」キーをクリックする。それを、私のブログでやられてしまったということだ。

ただファイルはゴミ箱に入る。ゴミ箱からはいつでも復活できる。アメブロはどうだ?

復活の可能性をGoogleで検索しまくるが、
探せば探すほど、復活は絶望できでることを知る。
『なんで・・・』

思わずつぶやく。
いったい私が何をしたというのだ。

facebookからのコピペが悪いのか?
そんなはずはない。

5日間ログインしなかったから?
まさか。

理由は・・・「商用利用」らしい。

 

確かに利用規約には「商用利用禁止」とある。
しかし私は、商用には・・・

『したか・・・』

確かにした。

確か3回ほど(ブログがDELETEされたいま、それを確認する術はない)
自分の商品について書い、URLも貼った。
『あれだけで商用利用とみなされたのか・・・』
悔しさが全身にこみ上げる。

1度くらい警告してくれればいいのに・・・。

投稿数は100を超えていた。
それが綺麗サッパリ無くなっている。

毎日150を超えていたアクセス数も
ゼロになったということだ。

『・・・』

今日の夜、facebook友達と企画した飲み会がある。
1週間前から楽しみにしていたのだが
そんなワクワク感は急速にしぼんでいった。

しかし・・・その飲み会で私はある大胆な解決策を知ることになる。
解決まであと、12時間。

(続く)

 

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